最近好きになったもの
最近、をどこまでに定義するかにもよるけれど。
ここ数週間で私の生活に新たに加わったもの。
たまたま見かけたのが、4月8日。
阪急四条河原町の駅近くの橋の上。
春の陽気がようやく訪れ、冬物のコートからスプリングコートへと着替えた頃だ。
冬場にはまばらにしかいなかった鴨川の河川敷に人々が等間隔に座り始め、
今年は早くに咲き、既に散り始めている桜を楽しんでいるような穏やかな晴れた休日だった。
30人ほどの人だかりの真ん中に数人の男性がいるのが見えた。
(路上ライブか、この季節は暑くもなく寒くもなく、立ち止まって聞いてみようかなって気分になるのも分かるかも)
海外からの観光客も多い京都ならではの、スーツケースを足元に置き、スマホを片手に動画を撮るアジア系外国人の方々も居て、ちょっとした賑わい。
特に上手いのか、めっちゃかっこいいのか、それともなにかキャッチーな要素があるのか。
人が注目するものにはとりあえずのっかっとけ。ということで、隙間からちらりと覗くと5人組。
ありきたりな雰囲気にも思えて、なんでこんなに人だかりが出来ているのか。逆に気になるくらいだった。
音がなり始め、ダンスを踊る。
ただの路上ライブの方々のよくも悪くも素人っぽかったり、
観客を意識していないものとは全く違った。
「これからデビューするのに向けて、路上もしてます」
といった感じなのかと思うが、
それにしてもちゃんと歌を歌い、踊り、振り付けも揃って
いて、きちんと魅せることを意識している。
練習をして、自己満足ではない世界を作る努力が見える。
ちゃんとした「プロ」の仕事が垣間見える。
いや、まぁ、聞いてみないと分からんし?
と思っていたけれど、
これくらいちゃんとしていてお金をとれるレベルなら、
確かに人だかりが出来ていてもおかしくはない。
MCも面白いけれども、面白い以上ではなく。
端から覗いていたせいで、全員の顔は分からなかったし、
絶対と思える何かを感じた訳じゃなく、
待ち合わせの時間を気にしながら聞くほどではないように
思えた。
通りすぎてから何組かの路上ライブをみかけた。
言い方は悪いかもしれないけれど、プロの欠片が見えなくて
少しがっかりした。見比べてしまっていた。
やはりさきほどのグループが気になって、
後で調べるためにTwitterだけでもチェックして帰ろうと
戻ると、曲の間にお客さんに向かって話しているメンバーと
チラシを配っているメンバーとがいた。
役割分担がきちんと決まっているらしい。
(慣れてるんだな、こういう場に)
メンバーの一人ににっこり笑って
「チラシだけでも貰って帰ってください」と
手渡されたチラシを片手に、今度こそ駅へと向かう。
なんとなく撮っていた動画を見返しながら、
やっぱりどこにでもいる感じなのかも、と思う。
完全なる特別、ではなくて。
これだけを原因で見に行くことはないだろうな、と。
調べてyoutubeで見た動画も、上手いけれども上手いだけ。
でも………なぜか記憶に残ったパフォーマンス。
なんでだろう。
あの榮倉奈々ばりに顔が整っているのに、
ダンスは男っぽくて声も優しくていい声なのに
ファンサービスあんまりしない感じの、
あのメンバーのアンバランスさのせいか、
それともパフォーマンスだけじゃなくて
続きをきちんと意識して行動が出来て、
地味なチラシ配りも素敵に出来てしまうプロ意識高すぎて、
むしろ大変そうなのに笑顔がキラキラしていたメンバーの
せいか。
なんか分かんないけど、気になる。
それが、一番最初。
ファンなんかついてくるもんなんだよ、
と言いそうな印象だった男前が
意外とまめなファンサービスをしていて面白いところとか
誰よりも人懐っこそうな外見のわりに
ストイックに歌を意識してそうな
切り捨てが上手そうな笑顔の多いとことか
どんなことがあってもブレなさそうなのに、
それを表に出さなさそうな可愛らしさとか
人として興味が出た。
なんかこの人たち、うまくいけば面白いことになるかも。
というワクワク感。
純粋に好き!ってファンの子達には本当に申し訳ないの
だけれども、
笑いかけられるだけで嬉しい!とかいうのとはちょっと違う。
そんな感じで気になるために、インストアイベントに行くと、
50名ほどの10代~20代前半の女子を中心としたファンがきていた。
彼女たちはお互いに顔見知りな人も多いようだった。
まだまだ固定化されたファン層は多くはなく、かといってちゃんと来てくれる人間も
身内以外に数十人はいるといった印象だ。
ターゲットとしてはお金をたくさん落としてくれる層ではなさそうなので
母数をもう少し地道に稼いでいくための知名度アップに向けた路上ライブだったのかもしれない。
こういうターゲットなら、会いに行けるアイドル系の近くにマーケットを感じつつ、
最初は配信などで無料でファン層を階段上に増やして、回収する感じだとするなら、
事務所は長期的に育てていくつもりなのかもしれない。と少し楽しくなってきた。
すぐに消えちゃいそうなのに、
今のパフォーマンスがすごく好き!といえるほどじゃないなら
応援していきたいとは思わないと思う。
それをファンになる子達は本能的に嗅ぎ付ける気がする。
女の子はどこか聡いのだ、きっと。
彼らの人間力なら、常時動員500名程度までは簡単に増えそうだ。
今のパフォーマンスに完全体を求めるなら、彼らを勧めない。
これからを見たいと思うような人には、
大成功に繋がらない可能性も含めた上で観てほしい。
全ては才能のみで計られる世界ではないから、
簡単には成功するとは言い切れないけれど
応援したいと思えるものがひとつ増えた。
VELLE.Jというグループのこれからがとても楽しみ。
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