思い出の中の笑顔
いつから先生の事を、ちゃんと思い出せなくなってたんだろう。
大好きな先生が亡くなってから、8年。
まだまだ先生の年齢には届かないけど、たとえ年齢が追い付いたとしても、先生の考えていたことは分かりそうにない。
それくらいに繊細で頭がよくて、潔癖でちゃんとした人で、誰にも本音を明かさないような、強くて弱い人だった。
今日、なぜだか先生の事を思い出して、泣いた。
流れ出した涙はおさまらなくて、家につく頃にはボロボロとこぼれていた。
大好きだった。尊敬や憧れ。
たくさんの事を教えてもらって、可愛がってもらってるようにはなかなか見えなくても、私は先生になついていた。
周りから「日本のためにも彼の遺伝子を残してくれ」と訳のわからないことを言われるくらいに、大好きなことを公言して憚らなかった。
もちろん、恋愛感情はお互いに欠片もなかったけれど。
大好きだったのに、こんなに簡単に思い出せなくなることが辛かった。
検索して見つかったのは、穏やかに微笑む顔。
たくさんのリンクが切れたページの中に、先生の記憶が埋まっていた。
気むずかしいところもある人だったから、そんなに笑ってる印象はなかったのに、いつも私の淹れる不味いコーヒーを笑って飲んでくれていたことを思い出した。
結構、笑ってくれてたな、私のバカな発言にも。
「あさながって読んだんだよ、学生が」
「え、私も読み方分かんないです」
「朝永振一郎、知らないの!?」
そんな会話を交わしたことを覚えている。
そこから朝永先生の話になって、別の先生から湯川先生の授業の話を聞かせてもらって、みんなでそうやったんやーとか話してる横で、いきなりホワイトボードに式とか書き始めて勉強の話か始まったりしてた。
いつもみんなで笑ってた記憶しかなかった。
すごくすごく可愛がってもらって、ワガママで生意気な私を先生たちは笑って見守ってくださっていた。
そんな大切な先生方のひとりだった。
桜の季節、みんなでお花見したことはとても大切な想い出。
もし天国があるのなら、先生が幸せで居てくれると良いなと思う。
0コメント